FXのビジネスモデルにはA-bookとB-bookの2種類があります。
どちらもFX業者側の用語で、顧客(トレーダー)側が目にしたりする機会はほとんどありません。
しかし、bookの意味が理解できるようになると、国内FX業者が固定スプレッドを採用している理由や、海外FX業者が豪華なボーナスを用意している理由が分かるようになります。
そこで今回は、FX業者のA-bookとB-bookの特長や違いを、詳しく解説します。
- A-bookとB-bookの違いやメリット・デメリットを分析!
- A-bookとB-bookを見分けるポイントを紹介!
- A-bookとB-bookのどちらを選ぶべきなのか解説!
A-bookとB-bookの違いによって、FX業者がどのようにして利益を上げているのか、それが顧客であるトレーダーにどのように関わってくるのか違ってきます。
FXをこれから始めようとしている方も、FXの経験者でも楽しめる内容となっているため、ぜひ最後までご覧ください。
A-bookとB-bookはビジネスモデルの違い
A-bookとB-bookは、FX業者のビジネスモデルを指します。
国内FX業者だけでなく、海外FX業者でも使っている用語のため、覚えておきたい業界のルールでもあります。
- ビジネスモデルが違うと取引相手が違う
- A-bookはインターバンクを介して別のトレーダーと取引する
- B-bookはインターバンクを介さずにFX業者と取引する
株式取引や債券取引では、トレーダー同士が注文を出し合い、条件が合えば売買が成立します。
しかし、FXは常に別のトレーダーと取引するとは限りません。
この項目では上記の3つを中心に、A-bookとB-bookのビジネスモデルの違いを解説します。
ビジネスモデルが違うと取引相手が違う
そもそも、FXはForeign Exchangeの略称で、日本語に正確に訳すと外国為替になりますが、現在では外国為替証拠金取引を指します。
基本的な話になりますが、FXは自分が購入しようと、あるいは売却しようとした注文とマッチした取引相手がいて、売買が成立します。
この取引相手と自分の持つ通貨を交換するのがFXですが、ビジネスモデルが違うと交換する相手が違ってきます。
A-bookはインターバンクを介して別のトレーダーと取引する
A-bookは、顧客(トレーダー)から受けた注文をインターバンクに流し、その注文とマッチする別の顧客(トレーダー)がいたら取引が成立するビジネスモデルです。
A-bookの注文の処理方法は下記になります。
- 顧客が買い注文を出す
- FX業者はインターバンクに注文を出す
- 条件に合う売り注文との間に取引が成立するとFX業者は手数料(利益)を得る
FX業者は注文をインターバンクに流すのがメインの仕事になるため、基本的な収益は手数料のみとなります。
そのため、顧客が多く取引をするほど、FX業者の利益になります。
インターバンクとは、銀行や為替ブローカなどの限定された市場参加者が資金の運用と調達を行う市場。
FX業者は各国のインターバンクを時間ごとに切り替えながら、24時間いつでもFX取引を可能としている
海外FXの解説などで見かけるNDD方式(No Dealing Desk)やECN方式(Electronic Communications Network)などがA-bookのビジネスモデルになります。
B-bookはインターバンクを介さずにFX業者と取引する
B-bookは顧客が出した注文をインターバンクに流さずに、業者が反対売買して取引が成立するビジネスモデルです。
B-bookの取引手順は下記のとおりになります。
- 顧客が買い注文を出す
- FX業者が反対の売り注文を出して相殺(成立)させます
- FX業者はインターバンクから顧客の注文より安く購入して利益を得る
反対に、顧客が売り注文を出した場合は、FX業者は自分で買い注文をして相殺します。
これだけの説明だと、どうしてFX業者が利益を得られるのか分かりづらいかもしれませんので、もっと詳しい解説をします。
- 顧客が米ドル円100円の時に1,000米ドル分の買い注文する
- FX業者は1,000米ドルを売り、10万円を得る
- FX業者はインターバンクから米ドル円90円のレートで1,000米ドル分の買い注文をする
- 結果、1,000米ドルを購入して差額の1万円が利益になる
なぜFX業者が顧客よりも安く通貨を購入できるのかというと、顧客が見ている為替レートはb-bookのFX業者が提示している物で、インターバンクの為替レートよりも悪いレートを提示しているからです。
FX業者の提示する為替レートと、FX業者がインターバンクで購入する為替レートの差分(スプレッド)が、B-bookのFX業者の利益になります。
FX業者のホームページや解説で見かけるDD方式(Dealing Desk)がB-bookのビジネスモデルになります。
A-bookのメリット・デメリット
別のトレーダーと取引するA-bookは3つのメリットと、4つのデメリットがあります。
- A-bookの3つのメリット
- A-bookの4つのデメリット
- A-bookは透明性の高い取引が魅力
一見すると、メリットよりもデメリットの数が多いA-bookは魅力が無いように思うかもしれませんが、それは間違いです。
どのようなメリット・デメリットなのか、詳しく解説します。
A-bookの3つのメリット
A-bookのメリットは3つあります。
- トレーダーの注文はインターバンクに流れるため透明性が高い
- FX業者は仲介だけのためレート操作が無い
- トレーダーとFX業者の間に利益相反が無い
A-bookはトレーダーの出した注文がそのままインターバンクに流れます。
FX業者は仲介作業だけのため、レート操作をされないので透明性の高い取引が大きなメリットになります。
また、トレーダーの成績がFX業者の収入に影響を与えていないのもポイントです。
どれだけトレーダーが利益を上げても、FX業者は損をしないため、利益相反にはなりません。
下記で詳しく説明しますが、B-bookはトレーダーの成績が良いとFX業者が損を出す可能性が高くなるため、出金停止や約定拒否といった妨害をする可能性があります。
A-bookだと利益相反にならないため、透明性の高いクリーンな取引ができます。
A-bookの4つのデメリット
A-bookのデメリットは4つあります。
- 全ての注文が確実に通るとは限らない
- スプレッドが広めに設定され、取引コストが高い
- レバレッジが最大200倍程度に設定されている
- 取引を始める証拠金が多く必要
A-bookは、トレーダーの出した注文をインターバンクに流し、マッチする注文があれば成立します。
そのため、レートから大きく外れたり、取引量の多い難しい注文が入ると、約定拒否やスリップページが起きやすくなります。
つまり、A-bookは全ての注文が確実に成立するとは限りません。
また、A-bookはスプレッドを広めに設定しているのも特徴です。
FX業者によっては、コミッションを取る場合もあるため、スプレッドと合計すると取引コストがB-bookに比べて高くなりやすいです。
コミッションとは、トレーダーの取引に対してFX業者が請求する手数料のことです。スプレッド自体がコミッションとする場合もありますが、取引数量に応じて別に請求するFX業者もいます。
レバレッジにもデメリットがあり、高レバレッジが魅力の海外FX業者でも、A-bookだと最大レバレッジが200倍程度となっています。
200倍以上のレバレッジを設定しているFX業者は、B-bookが圧倒的多数となっております。
もっとも、200倍のレバレッジも国内FXに比べると十分高い設定です。
そして、最後のデメリットがA-bookだとFXを始める証拠金が多くなりやすいということです。
1lotあたり10万通貨という業者も珍しくないため、証拠金が多く必要になります。
A-bookは透明性の高い取引が魅力
A-bookの特長を下記にまとめました。
- A-bookは透明性の高い取引が魅力
- どちらかといえばFXに慣れているトレーダー向き
A-bookは業者の提示する悪いレートで売買しないため、透明性の高い取引が行えるのが最大の魅力です。
FX業者も取引コストが収入になるため、クリーンな取引をポイントに多くのトレーダーを集め、取引回数を増やそうとしています。
しかし、注文が必ず通るとは限らず、スプレッドが広く取られや取引量に応じてコミッションが発生すると取引コストが高くなりやすく、FXを始める証拠金が多く必要などのデメリットもあります。
A-bookはどちらかといえば、FXに慣れている中級者から上級者のトレーダー向けのビジネスモデルです。
B-bookのメリット・デメリット
FX業者と取引するB-bookは3つのメリットと、1つのデメリットがあります。
- B-bookの3つのメリット
- B-bookの1つのデメリット
- B-bookは確実に取引ができる
A-bookよりもデメリットの数は少ないですが、1つしかないデメリットが大きなネックとなっています。
どのようなメリット・デメリットなのか、詳しく解説します。
B-bookの3つのメリット
B-bookのメリットは3つあります。
- どんな注文でも必ず通る
- スプレッドが狭いため取引コストが安い
- レバレッジが高くボーナスが豪華
B-bookの注文方法は、インターバンクにトレーダーの注文を流さず、FX業者が反対の注文をして取引を成立します。
そのため、インターバンクから調達できないような取引量の注文でも、24時間いつでも成立可能となっています 。
約定拒否やスリップページが発生しないのが最大の魅力となります。
また、B-bookのFX業者は自分で為替レートを自由に設定しているため、スプレッドを狭く、あるいはゼロに設定している口座を用意できます。
スプレッドが狭いと取引コストが安く抑えられ、B-bookのFX業者は1lotの取引量が10万通貨以下となっているため、FXを始めやすい環境となっているのもメリットです。
B-bookはA-bookのFX業者よりもレバレッジが非常に高くなり、入金100%ボーナスといった豪華なボーナスを頻繁に開催しています。
最大レバレッジが200倍以上となっている海外FX業者はB-bookだと判断しても間違いありません。
B-bookの1つのデメリット
B-bookのデメリットは1つあります。
- トレーダーとFX業者は利益相反の関係
B-bookの最大のデメリットは、トレーダーとFX業者の関係が利益相反となっていることです。
利益相反とはこの場合、トレーダーが儲ければFX業者が損をして、FX業者が儲ければトレーダーが損をする関係になります。
<0l>
- 顧客が米ドル円100円で1,000米ドル分購入する
- FX業者は反対注文をし、インターバンクで安く購入して1,000米ドルと1万円を利益で得る
- 顧客が米ドル円120円で1,000米ドル分を売却する
- FX業者は反対注文をし、米ドル円110円のインターバンクで1,000米ドルを売る
- 顧客は2万円の利益を得て、FX業者の利益はゼロ
実際は上記のように単純な結果にはなりませんが、このように顧客が利益を得ると、FX業者は利益を失う可能性が高いのです。
さらに言えば、トレーダー側はレバレッジを設定できるため、利益は更に大きくなります。
B-bookの業者にとって、不確定要素の大きいFXで安定して儲ける上級者トレーダーは、利益を奪う相手になってしまいます。
そのため、儲けているトレーダーに対して、出金拒否や約定拒否といった妨害工作をするケースがあります。
何しろ、為替レートから取引成立までを全てFX業者が一括でコントロールしているため、どんな取引が行われているのか、そこに不正はあるのかどうかトレーダー側から判断するのは難しいです。
そのため、A-bookよりも透明性は低い取引となります。
また、勝ちすぎると口座の凍結や利益没収といったケースも、FX業者によってはあり得るということを覚えておきましょう。
実際、国内FX業者の大手でもこれらのトラブルが起きてしまったという報告が、SNSや5ちゃんねるで見かけます。
B-bookは確実に取引ができる
B-bookの特長を下記にまとめました。
- どんな注文でも確実に通る
- 高レバレッジやスプレッドの狭さが魅力
- 顧客と業者の関係が利益相反
B-bookの最大の特長は、トレーダーの注文をFX業者が成立するように反対注文をするため、どのような難しい取引でも確実に注文が通ることです。
スプレッドや手数料も安く設定されているため、スキャルピングのような短期トレードを考えている方にピッタリです。
スキャルピングとは1回の取引に得る利益が小さくても、1日の内に何回も取引を行って利益を積み上げていくスタイル。取引回数が多くなるため、取引コストが安いFX業者が向いている
B-bookの海外FX業者だと、200倍以上の高レバレッジが利用でき、豪華なボーナスも魅力です。
高レバレッジが効かせられるFX業者だと、証拠金が1,000円といった少額でも、大きな利益を得るチャンスがあります。
ただし、顧客と業者の関係が利益相反となっているのが最大のネックです。
FX業者にしてみると、大きく稼いでいるトレーダーは、自社の利益を圧迫するライバルになってしまいます。
B-bookではFXの取引が全てFX業者が握っているため、あらゆる妨害策を打ち出し、それをトレーダー側が防ぐことはできません。
そのため、B-bookはFXの初心者や、少ない資金でFXをやりたい中級者向けとなっています。
B-bookのFX業者は何者なのか
この項目では、B-bookのFX業者が何者なのか、どんな狙いがあるのかといった内容がポイントとなっています。
- B-bookはノミ行為なのか
- B-bookのFX業者は違法な商売では無い
- B-bookのFX業者であったトラブル
- B-bookのFX業者の戦略
- 金融庁の国内FX業者一斉調査の結果
トレーダーとFX業者の関係が利益相反となっているB-bookをインターネットで検索すると、「詐欺師」といった表現を見かけます。
本当にB-bookが詐欺師なのかどうか、この項目で詳しく解説します。
B-bookはノミ行為なのか
B-bookのFX業者は、本来の意味と違いますが、ノミ行為をするノミ業者に分類されることが多いです。
ノミ行為とは、顧客の注文を取引所に出さずに、相手の資金を得てしまう違法行為を指します。
負ける確率の高いギャンブルで、客の注文を通さずに自分で注文を呑んでしまい、客の金を自分の物にしたことが語源とされています。
今回の場合だと、インターバンクに顧客の注文をそのまま通さないことがノミ行為に引っかかりますが、B-bookのFX業者はインターバンクに顧客の注文よりも安い注文を出しているため、厳密にはノミ行為とは言えません。
B-bookのFX業者をインターネットで調べると、利益相反の関係にあるため、不正・悪質な操作をしている危険な詐欺師といった風に解説している記事もありますが、それは誤りです。
なぜなら、FX業者のノミ行為や約定拒否、出金停止は全て法律の範疇で認められている合法行為なのです。
B-bookのFX業者は違法な商売では無い
ノミ行為と聞くと、競馬を連想する方も少なくないでしょう。
競馬のノミ屋とは、胴元(国)が運営している公営ギャンブルを非公認に主催する違法行為です。
胴元の設定したレートとは違ったレートを業者(ノミ屋)が設定できるなど、B-bookのFX業者と共通するポイントがあります。
しかし、取引商品が金融商品になり、顧客の注文よりも安い注文を取引所に出していると、店頭取引という合法な商売に変わるのです。
かつては、取引所に上場していない株式を店頭公開銘柄と紹介して、売買がされていました。時代が変わって、株式は取引所での取引のみとなりましたが、FX業界ではいまだに店頭取引が主流となっています。
B-bookのFX業者であったトラブル
B-bookのFX業者が本当に約定拒否や出金停止をしたのか疑問に思う方もいるかもしれませんが、過去に大きなトラブルがありました。
2016年3月17日に、楽天FXで「スプレッドが突然1500pipsに拡大し、投資家のストップ注文を根こそぎ狩り取った。」という報告がありました。
当時の楽天FXの原則固定スプレッドは米ドル円が0.3pipsだったのですが、この拡大によって売り注文も買い注文も、ロングもショートも関係なくロスカット。
多くの投資家の残高がマイナスとなり追証の対象となりました。
SNSでは楽天FXの異常なスプレッドに疑問と怒りの声が上がり、楽天FX側もすぐさま対応を発表。
誤ったレートが配信されたと説明し、正常なレートに基づいて修正作業を進めるとコメントしました。
このトラブルは明らかにシステムエラーですが、システムを操作できるという証明にもなっています。
現在のシステムは高性能な物となっているため、トレーダーごとの個別の動きに対応できるようになっております。
もし、瞬間的にスプレッドが変化しても、大多数のトレーダーは気づかないままでいる可能性が高いです。
B-bookのFX業者の戦略
FX業者にとって、A-bookとB-bookのどちらが儲かるかというと、B-bookの方が儲かります。
EUのFX業者が発表している投資家の損失割合を平均化すると、FXに参加している投資家の80%が損失を出し、最初の1カ月で入金した資金の1割の損失を出しています。
損失はB-bookのFX業者にとって、利益です。
極端に言ってしまえば、参加した投資家の証拠金がゼロになってしまえば、全てFX業者の利益になります。
FXで儲ける人よりも、損をする人の方が確率は高いため、B-bookの方が儲けやすいというのは納得できます。
もし、B-bookで儲けているトレーダーがいても、出金停止や口座凍結などをして追い出せば、それで問題は解決できます。
このようにB-bookはFX業者に有利な条件となっているため、国内FX業者をノミ行為・詐欺師など指摘する声が上がります。
実際は合法行為ではありますが、トレーダーにとってB-bookは不利と言えます。
金融庁の国内FX業者一斉調査の結果
国内FX業者の大半がB-bookをしているのかどうかを確かめる調査結果があります。
2010年に金融庁が発表した「外国為替証拠金取引業者に対する一斉調査の結果について」では、国内FX業者99社を対象に、顧客との取引によって発生した損失を減少させる為に、インターバンクを相手方としたカバー取引の実施状況を調べました。
なお、カバー取引とは、FX業者がインターバンクに対して注文を出す行為を指します。
- A-bookのカバー取引は、トレーダーの注文をFX業者がそのままインターバンクに出すこと
- B-bookのカバー取引は、トレーダーの注文をインターバンクに出さず、その注文よりも安い注文をインターバンクに出すこと
金融庁が発表した報告書でのカバー取引は、トレーダーが米ドル円105円で購入する注文に対して、FX業者が104円で購入する取引するような、「トレーダーの注文よりも安い注文を出した取引」を指すと明言されています。
トレーダーとの取引後にカバー取引を必ず行うフルカバーを実施しているのは、全体の73%。
一部カバーをしているのは27パーセントで、半分以下の取引だけカバーしているのは全体の12%程度しかありません。
2010年の報告書のため情報は古いですが、少なくとも10年前の時点で国内FX業者の7割はB-bookのFX業者だと判明しています。
A-bookとB-bookを見分けるポイント
A-bookとB-bookにはそれぞれメリット・デメリットがありますが、それを見分けるポイントが重要になります。
- 国内FX業者は基本的にB-book
- 海外FX業者はA-bookとB-bookを併用
- トレーダーが見分けるのは不可能
A-bookとB-bookを見分けるポイントについて、順番に解説します。
国内FX業者は基本的にB-book
上記でも説明しましたが、国内FX業者の大半はB-bookのFX業者になります。
法律上、何ら問題が無く、日本人のFX取引量は世界上位を占めているため、A-bookに切り替えるメリットが少ないです。
ですから、国内FX業者で低スプレッド、あるいは固定スプレッドを広告にしているのは、大半がB-bookだと思って間違いありません。
一方で、国内FX業者の中にはA-bookであることを売りにしている業者も数は少ないですがあります。
海外FX業者はA-bookとB-bookを併用
海外FX業者は厄介なことに、A-bookとB-bookを併用しているパターンが多いです。
たとえば、スプレッドがゼロなのを売りにしていたり、高レバレッジが設定できる口座はB-book、それ以外のスタンダードな口座はA-bookといった風に使い分けをしています。
A-bookとB-bookの適用ルールは業者側が設定するため、投資成績が良いトレーダーは勝手にA-bookを適用、初心者トレーダーはB-bookを適用するといった設定も自由にできます。
そのため、海外FX業者を利用していても、自分の口座がA-bookなのか、B-bookなのかを見分けるのは非常に困難になっています。
トレーダーが見分けるのは不可能
国内FX業者の大半はB-bookですが、海外FX業者がA-bookなのか、B-bookなのかを見分けるのは非常に困難です。
なにしろ、トレーダーに通達せずに、FX業者側が自由にルールを変えられるのですから、トレーダー側に見分ける手段はありません。
約定力やスプレッド、スリップページの頻度などからある程度の予想を付けることは可能ですが、あくまでも予想の範疇となります。
A-bookとB-bookのどちらを選ぶべきなのか
A-bookとB-bookにはそれぞれメリット・デメリットがあり、可能ならば自分の投資スタイルに合ったビジネスモデルを選びたいです。
- スキャルピングをするならB-book
- デイトレードをするならA-book
- ビジネスモデルを中心に選ぶなら海外FX業者
A-bookとB-bookにピッタリなトレードのやり方や、トレーダーのタイプも解説します。
スキャルピングをするならB-book
B-bookは注文が確実に通り、少額からでもFXを始められます。
スプレッドや手数料が低く設定されていて、トレーダーがFXを始めやすい環境になっているのも大きな魅力と言えます。
そのため、スキャルピングのように1日に何度も細かい取引をするトレーダーにとってはメリットが多く得られます。
高レバレッジなのも、積み上げた利益を大きくできる要素のため、有利に働きます。
- 1日の内に何度も取引をするタイプ
- FX初心者か、少ない資産でFXをやりたい中級者
デイトレードをするならA-book
A-bookは透明性の高い取引が魅力ですが、スプレッドが広く、取引量に応じて手数料を取られるため、取引回数が多くなると損失を生みやすくなります。
そのため、スキャルピングのような短時間でのトレードよりも、デイトレードやスイングトレードのように中~長期間保有してから売買するトレーダーの方が、安定して稼ぎやすいです。
- 1日の間に数回しかトレードをしない、あるいは数日から数週間も売買せずに保有していくトレーダー
- コストや約定拒否、スリップページといったリスクがあっても利益が出せる上級者
ビジネスモデルを中心に選ぶなら海外FX業者
これまで解説したようにA-bookとB-bookにはそれぞれメリット・デメリットや特長があり、どちらかが優れているとは断言できません。
また、A-bookなのか、B-bookなのかをトレーダー側が判断する基準や説明は少ないため、見分けるのも難しいです。
そのため、ビジネスモデルを中心にFX業者を選ぶのは困難だと言えます。
それでもビジネスモデルを中心に選ぶとしたら、海外FX業者になります。
理由としては、国内FX業者の大半がB-bookを採用している点が上げられます。
A-bookの国内FX業者もありますが、数は少なく、規模は小さいためサービス内容が大手と比べると見劣りしてしまい、口座を作る魅力がそれほど感じられません。
海外FX業者のビジネスモデルがA-bookなのか、B-bookなのかを見分けるのは難しいです。
業者側がルールを握っているため、トレーダーの成績やスタイルによってビジネスモデルを勝手に変更してしまいます。
しかし、国内FX業者に比べれば、高レバレッジやスプレッドが低く、ボーナスが豪華といった特長が多いです。
国内FX業者だとB-bookになってしまう確率が高いため、A-bookを使える可能性が残っている海外FX業者の方がマシだと考える方も少なからずいます。
以上のことから、ビジネスモデルを中心にFX業者を選ぶなら、国内FX業者よりも海外FX業者の方が魅力的だと思えるポイントは多いです。
A-bookとB-bookのメリット・デメリットから分かる特長
FX業者のA-bookとB-bookを分析すると、FXは業者側が有利な取引だと分かりました。
- A-bookは顧客同士の取引で、FX会社は手数料しか得られない
- B-bookは顧客とFX業者の取引で、顧客の損失がFX会社の利益となる
- A-bookとB-bookを見分けるのは難しく、FX業者が自由に決められる
FXは株式取引や債券取引よりもリスクの高い金融商品です。
そのため、トレーダーにとって有利な条件を少しでも増やしてから望みたいですが、ビジネスモデルのルールに関してはFX業者が握っているのは仕方ない部分です。
ですから、ビジネスモデルよりも、そのFX業者が過去に出金停止トラブルがあったのか、口座凍結が起きているのかといった評判を調べたり、提供するツールやスプレッドの内容などを調べた方が、安心して取引ができます。
それでもA-bookとB-bookにこだわるなら、国内FX業者よりも海外FX業者の方がA-bookが適用される可能性は高いと覚えておきましょう。